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商品説明
信玄武将の起請文/文化庁指導/限定1000部/神への誓約状を通して戦国武士たちの心情やいわゆる武田軍団の組織の一端に触れることができる
昭和63年 28㎝×37㎝の大判です。 定価15000円 資料用にもいかがでしょうか。
東京大学文学部教授 長野県史編纂指導者
長野県上田市内、「信州の鎌倉」とよばれる塩田平の一角に鎮座する生島足島神社は、 信濃国でも指折りの古社である。その生島足島神社には、武田信玄の配下の戦国武将二百 三十余人が信玄に対する忠誠を神に誓った起請文八十三通が所蔵されている。うち七十二 通が永禄十年八月七日、八通が翌八日の日付である。ほぼ同時に神に捧げられた起請文が これだけの多数、現代まで伝わっている例は他に稀である。かねてから是非現物を拝見し たいものと願っていたが、東信史学会会長黒坂周平氏のお骨折りで数年前のある秋の一 日、恩師寶月圭吾先生のお供をしてはじめてその念願を果すことができた。
四百年以上も昔、神前に捧げられたままの包紙を一通ずつ開いてみると、信玄の弟信廉 や甥信豊をはじめ板垣・馬場・跡部・長坂・原・小山田など名だたる甲州武士、海野・依 田・望月・屋代・室賀・仁科などの信州の武士、さらに小幡一族など西上州の侍たちの自 筆の署名や花押(サイン)を記した起請文が次々とあらわれてきた。いずれも熊野大社の 牛玉宝印のおされた特別の用紙を裏返して書かれ、それぞれに血判がおされている。しか も内容や形式に少しずつ相違が見られ、宛先の人名が異なっているところがまた面白い。
神への誓約状を通して、戦国武士たちの心情や、いわゆる武田軍団の組織の一端に触れる ことができ、一種の感動をおぼえたことを今もよく記憶している。
全国で例のないこの文書の貴重な価値がみとめられて、昨年、国の重要文化財に指定さ れたことはまことに喜ばしい限りである。
序
学習院大学名誉教授 児玉幸多
- 長野県上田市下之郷に鎮座する生島足島神社は生島神と足島神の二座を祀り、延喜式で は名神大の社であり、旧国幣中社である。摂社は下宮と称する諏訪神社である。中世には 下之郷大明神とか諏方法性大明神とか称せられた。
信濃に於いては有数の大社であるから、戦国時代には多くの武将が祈願をしたが、特に武田信玄の崇敬が厚く、しばしば祈願をしている。永禄二年九月、長尾景虎(上杉謙信) と決戦しようとした時にも、景虎を滅亡させ、無事凱旋したならば、十年間にわたって社 殿の修補料を奉納すると言っている。
「謙信との争いはこれより何年にも及び、川中島五度の戦いと言われるほどに相争ったが、永禄九年にまた互いに軍を動かそうとした時に、その六月、謙信は春日山城内の看経所に願文を捧げて、信濃・甲斐両国を平定し、甲府で信玄父子を退治して上洛を遂げたい旨の祈願をしているが、その八月には信玄の家臣がこの下之郷大明神に起請文を捧げて、 信玄に対して異心のないことを誓っている。
その頃、謙信は上野にも出陣して、武田・北条の連合軍とも争っているが、北信濃の諸 将で信玄に逐われて謙信を頼っている者も多いので、信玄も部下諸将の結束を固めておか なければならない。永禄十年八月、一族から諸奉行以下の被官に至るまで起請文を書か せ、それを下之郷大明神に納めたのが、今日に伝来して、国の重要文化財に指定されてい るものである。内容は信玄に対して逆心謀叛を企てることのないこと、長尾輝虎(謙信) 以下の敵方に内通することがないこと、甲斐・信濃・西上野の三か国の者で異心を抱く者 があっても自分は信玄に忠節を尽すなどのことである。
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